情報をビジネスに変える
2016/06/10
これまで情報のあり方からその扱い、はては未来への可能性に至るまで言及してまいりましたが、これらはあくまで情報を受動的に受け取り適切に活用することで、自身のあるべき姿を描き、未来に向けての指針とするものでした。
それでは、情報というものは、単に自らが受け取るだけのものでしょうか。
今回は、そのような情報が持つ役目を今一度考え、情報の発信者・受信者双方の関係から情報がビジネスとして成立していく過程を考えていきたいと存じます。
情報を発信することの意義
既にご説明させて頂いた通り、情報には必ずそれを発信する者がおり、どのような情報をどのタイミングで発信するかはその者たちのさじ加減一つなのです。
よって、好意的に情報を発信する方もいれば、悪意を持って情報を発信することで、それを受け取った者に何らかの不利益を与える者、あるいは敢えて情報を隠蔽することで自らの利益を守り、大切なことは伝えず、情報の持つ本質を伝えようとしない方など、様々な情報発信のケースが考えられます。
このような、恣意的な行為に及ぶ人たちがいることを考えると、そこに一つの傾向を見出すことができます。
情報とはそれを持つものと持たざる者との間の取引材料になりうる存在であり、情報を提供することで、対人間のビジネスが成立するという関係が見て取れるのです。
なぜなら、情報を広く社会のために活用する者もいれば、自身の利益や保身のために利用する者、悪意を持って他者を陥れようとする者など、発信者によっては情報の受け手側とのビジネスに利用することで、利益を得ようとするからです。
このことは、情報を提供する代わりに、利益を受け取るという構図が成立することを表しています。
よって、情報を持つ者は持たざる者に対して、ビジネスを働きかけることができ、またその情報を手に入れたい者はそのビジネスに応じることで、情報を金銭によって授受するというようなことが、これまで数多く行われてきたのです。
情報の制限による情報弱者の発生
既に述べた通り、与えられる情報の全てが平等ではないというのは、情報がビジネス化され、金銭で取引されることにより、その情報自体を手に入れることができない人がいるためなのです。
そのような方たちは、俗に情報弱者と呼ばれ、社会からも時代からも取り残され、情報の恩恵を受けることなく、生活の向上を図ることができなくなるわけです。
事実、世界を見渡せば、そのような情報が制限されていることで、満足の行く生活を送ることのできない方たちは沢山おられます。
また、このような傾向は何も現在に限っての話ではなく、古来から今に至るまで幾度となく繰り返されてきた歴史でもあります。
人々は古来より情報を取引材料として利用し、有益な情報を持つ者はそれだけ富み、情報を持たず、また手に入れられない者の生活はますます貧しくなっていきました。
つまり、多くの情報を持つ者ほど、裕福な生活を送れたのです。
そして、その情報は誰しも平等に与えられる物ではなく、時の権力者や有力者などごく一部の限られた者のみに許された特権とも言うべきものでした。
したがって、情報の発信者がごく少数の者に限られていたために、大多数の人々は彼らによって統治され、また支配されていたのです。
情報を持つ者と持たざる者の関係はそのまま支配者と被支配者の関係であったわけです。
情報のビジネス化
ところが、このような状況は近現代に入り一変します。
数々の情報伝達手段が開発され、それが広く行き渡るようになると、これまでのように一部の者のみでなく、多数の人々が同様に情報を手に入れる機会に恵まれることになりました。
その結果、情報の送り手と受け手の関係は崩壊し、どちらか一方だけでなく、双方向でやり取りできるようになったわけです。
また、情報が広く行き渡ることで、情報が飽和状態になり、ありふれた情報は殆ど価値を持たないものとなりました。
そのような情報は誰しも手に入れることができ、現在では殆どの方が平等に扱えるようになっています。
更に、既に述べた通り、ネットワーク通信技術が発達したことで、わたし達はその場にいながらにして数多くの情報を瞬時に手に入れることができるようになりました。
その結果、社会全体の情報量が飛躍的に増し、情報爆発と言われるまでになりました。
高度情報社会と呼ばれる現代にあっては、もはや情報は手に入って当たり前の存在ともいうべきものとなり、ごく一部の重要情報以外は容易に手に入れられるようになりました。
しかし、依然として生活の根幹から変えてしまうような重要情報は、今尚金銭の取引材料として用いられています。
その利用される場面も様々で、あらゆる分野で秘匿事項として情報が用いられています。
そして、そのような情報こそがビジネスとして社会を動かす原動力となっているのもまた事実なのです。
最近、盛んになっている有益な情報そのものを売り買いする所謂「情報ビジネス」と呼ばれるものもこの流れを受けています。
かつては、情報を得ることで、それを基にした技術を開発したり、はたまた戦争のための兵器開発に用いられる等、情報そのものではなく、情報を基にした成果物のために取引されることが大半でした。
今ではあまり聞かれることはなくなりましたが、情報を盗み出す産業スパイなんかもその名残だと言えます。
実際に企業秘密が金銭でやり取りされていましたからね。
今も水面下で密かに行われており、社会問題として色濃く残っています。
しかし、今では情報そのものが利益を生み出すようになり、そのようなノウハウを持つ者が、その情報を提供することでビジネスが成り立つという構造に変わって来ているのです。
よって、私たちは情報を買うという手段で自らのビジネスを確立し、利益を得ることができるようになったわけです。
しかし、情報ビジネスと呼ばれるそれら一連の流れは、良い面もあれば悪い面も存在しています。
それは、既に何度も申し上げている通り、情報の持つ二面性によるものです。
つまり、正しい情報が得られるか、誤った情報が得られるかの違いです。
また、確実性のあるものか不確実なものかによっても大別することができます。
正しい情報を金銭を通して得られれば、自身の利益に繋げることができますが、誤った情報や詐欺情報を得てしまうと、それにより自身が損害を蒙る可能性を否定できません。
それが、情報ビジネスの持つ利点と欠点なのです。
しかし、情報ビジネスはまだまだ発展段階にあり、世間の認知度も高くなく、信頼されるビジネスまでには至っておりません。
よって、始めからその効果を疑って掛かったり、そもそも信じて貰えなかったりと、まだまだ世間との間には大きな壁があります。
その一方で、情報ビジネスの可能性に気が付き始めた方々が、この世界に進出されるようになっているのもまた事実です。
私たちはこれからこの情報を取り巻くビジネスが如何に発展を遂げていくのか、時間を掛けて見守っていく必要がありそうです。
ある意味、この情報ビジネスというのは、情報が持つ最終形態と言えそうです。
尚、最近の情報ビジネス界では、敢えて無料で重要情報を公開し、ノウハウを公開することで更なる利益に繋げようという方々も現れており、サービス合戦が繰り広げられるようになっています。
近い将来、殆どの秘匿すべき情報が公開されるような開けた時代が来るのかもしれませんね。
きっと、それでも利益を確保できるような手法が出てくるのだと思います。
今後、この情報ビジネスがどこに向かっていくのか注視していきましょう。